四竜帝の大陸【青の大陸編】
青の陛下は慣れないというか、純情っつーか。
こういうの、苦手だもんなぁ。
最近は竜体ばかりだったから、今回もきっとそうだろうと油断していた。
それに、今まではハニーが……カイユが居る時は、あの格好の上に必ず外套を……カイユがこの場に居るのを知ってたはずなのにしてない?

クルシェーミカに呼ばれて退室した時に、置いてきちまったのか?
外套を身に着けることを後回しに戻ってくるほど……何があったんだ?

「わぁああん~陛下ぁああ! またそんな格好してっ……僕以外に肌見せるの止めて下さいって、いつもお願いしてるのにぃいい~!」

俺が脳内でいろいろと考えていると、半べその父さんの声が耳に飛び込んできた。 
まぁ、無理ないか。

頭のネジが若干緩い父さんだが、竜族の雄として当然ながらつがいへの強い独占欲を持っている。
つがいの雌がこんな露出の多い格好で人前に出るなど、許せるはずが無い。

「お黙り、エルゲリスト。私はトリィさんの件を先に伝えなさいと言ったわよね? こんな簡単な事もできないいなんて、まったく……いけない子ねぇ」

首から下はひよこの着ぐるみの父さんの顎を、短鞭の先端で持ち上げるようにして言った。
外套は無しのクセに、鞭は持ってるって。
母さん、あんたは外套より鞭優先なのかよ!

「ご、ごごっごめんなさい!」

口から出たのは謝罪の言葉だってのに、その顔にあるのは恍惚とした……父さん、頬を染めてんじゃねえって。

父さんはいったいいつになったら、気づくんだろうなぁ~。
母さんがそんな格好するのは、父さんの反応を楽しむためだって事に。




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