四竜帝の大陸【青の大陸編】
カイユは電鏡に駆け寄り、届かぬ手を伸ばす。
「ジリギエ! ジリッ! ジリギエッ、起きてジリギエ!」
血の気のひいた顔にあるのは、驚愕より恐怖。
カイユは知っている。
俺は生ゴミ状態だったし、姫さんの負荷を全て受けた旦那は見事なまでにバラバラだったさ。
大陸間転移の大きな負荷を、カイユは嫌と言うほど知っている。
「ジ……リギエが、なぜっ……」
カイユの問いに、赤の竜帝の冷静な声が重なる。
「エルゲリスト、私は地下の区画特2にこの子を運ぶ。貴方はクルシェーミカを呼んで、溶液濃度の調整させなさい」
「は、はい! 陛下!」
ひよこの着ぐるみを着ているとは思えない機敏な動きで、父さんは電鏡の間から廊下へと駆け出した。
「ヴェルヴァイド様っ! どういうことです!? ジリギエはっ……」
旦那はカイユへと金の目を動かして、答えた。
「死にはせぬ。臓腑が多少いかれただけだ」
その言葉に、カイユは両手を握り締める。
「…………あれで多少と、貴方はそう言うのですかっ!?」
小刻みに震える拳を鏡面に押し付け、自分へと向けられた黄金の瞳を迎え撃つ。
旦那相手に一歩も引かず、冷たさを増した水色の目で世界最強の存在をを睨みつける。
「あの幼生は自らの意思で我に“張付いた”のだ。ふむ、血か? 先程、祖父も孫と同じように我に張付いておったしな」
そんなカイユの責めも怒りも興味が無いのか、旦那はカイユに顔を向けたまま視線だけを別の場所へと流した。
黄金の目が捕らえたのは、床に転がる黄色い……ひよこの頭部。
旦那はそれに視線を固定し、数回瞬きをした。
……まさか、だよな?
<赤の竜帝>が床から孫であるジリギエを抱き上げ、カイユを見て頷いてから足早に部屋を出て治療に向かうのを見送ると、俺の愛する妻は般若の表情で振り向いた。
「ジリギエ! ジリッ! ジリギエッ、起きてジリギエ!」
血の気のひいた顔にあるのは、驚愕より恐怖。
カイユは知っている。
俺は生ゴミ状態だったし、姫さんの負荷を全て受けた旦那は見事なまでにバラバラだったさ。
大陸間転移の大きな負荷を、カイユは嫌と言うほど知っている。
「ジ……リギエが、なぜっ……」
カイユの問いに、赤の竜帝の冷静な声が重なる。
「エルゲリスト、私は地下の区画特2にこの子を運ぶ。貴方はクルシェーミカを呼んで、溶液濃度の調整させなさい」
「は、はい! 陛下!」
ひよこの着ぐるみを着ているとは思えない機敏な動きで、父さんは電鏡の間から廊下へと駆け出した。
「ヴェルヴァイド様っ! どういうことです!? ジリギエはっ……」
旦那はカイユへと金の目を動かして、答えた。
「死にはせぬ。臓腑が多少いかれただけだ」
その言葉に、カイユは両手を握り締める。
「…………あれで多少と、貴方はそう言うのですかっ!?」
小刻みに震える拳を鏡面に押し付け、自分へと向けられた黄金の瞳を迎え撃つ。
旦那相手に一歩も引かず、冷たさを増した水色の目で世界最強の存在をを睨みつける。
「あの幼生は自らの意思で我に“張付いた”のだ。ふむ、血か? 先程、祖父も孫と同じように我に張付いておったしな」
そんなカイユの責めも怒りも興味が無いのか、旦那はカイユに顔を向けたまま視線だけを別の場所へと流した。
黄金の目が捕らえたのは、床に転がる黄色い……ひよこの頭部。
旦那はそれに視線を固定し、数回瞬きをした。
……まさか、だよな?
<赤の竜帝>が床から孫であるジリギエを抱き上げ、カイユを見て頷いてから足早に部屋を出て治療に向かうのを見送ると、俺の愛する妻は般若の表情で振り向いた。