四竜帝の大陸【青の大陸編】
とにかく……せっかく出会えた意思疎通のできる存在。
離れたくない……ってか、逃がしてなるものか!

「あ、あの。もしも可能ならば私と一緒に居て欲しいの! あなたの存在が必要なの」

どう言ったら、頼んだら良いんだろう?
この子にはこの子の生活があるわけだし。
でも、私も追い詰められた状態っていうか……。

「……我と居たいと? この我を求めておるのか?」

金の眼をくりんと回して私に合わせた竜は、またまた首を傾げた。
うわっ!
ホントにラブリーだ~!
煩悩思考が念話にならないように……自分自身に語りかけるように心がけた。
だってこんなマニアックな目線で見てるのがばれたら、変質者と思われて逃げられちゃうかも!

「うん、うん!ずっと一緒にいたいの。私でできることは何でもする!」
「ふむ。……では、我に名前を与えてくれ」

 え?

 名前?
 
この子は名前が無かったの? 
こんな可愛いのに!
なんて役得なんでしょう。
おいしい展開だよね、これ。
こんな可愛い竜(鱗系!うれしー!)に私の考えた名前をつけれて、一緒にいられるなんて!

「無理ならよい。我はいままでもそうだったのだから」

ほんの一瞬、黄金の眼が揺らいだように見えた。

「はい、決定しました!白からとって<ハク>に決定!」
「お前……名前を……」

私は即決してた。
白いから、ハク。
シロだとおじいちゃんの愛犬と同じになっちゃうから、ハク。
安直な名前だけど、これしか浮かんでこなかった。
何より、名前をって言われたら<ハク>がぱっと出てきた。

「あなたはハク。私は鳥居りこです。これから末永くよろしくね!」
「……我はハク。そうか、そうだったのか! くくっ……はは」

ハクが笑った。
金の眼が細くなって、三角形に可愛い歯と鋭い牙が見えるほど口を開い手笑った。
でも、声は聞こえない。

声が聞こえない。
それは。
ちょっと、寂しかった。
< 8 / 807 >

この作品をシェア

pagetop