四竜帝の大陸【青の大陸編】
『陛下。無理なんじゃないですかぁ? 旦那が許可出すはずないと思うんですが』

離宮へ徒歩で(陛下は飛んでるが)向いながら、俺は陛下に進言した。
どう考えたって、旦那が姫さんと陛下を会わせるとは……。

ハニーが陛下と姫さんの対面を楽しみにしているようだったから、言えなかった。
だが、ここには俺と陛下の二人しかいない。
遠慮なく、言わせてもらおう!

『旦那も一応は竜族ですから。他の雄、しかもつがいを得ていない陛下を姫さんに近づけるはずないですよ。無理に会おうとすれば、今度こそぶっ殺されますよ?』

旦那は強い。
しかも……日に日に凶暴化している気がする。

以前の旦那はあらゆることに無関心だったせいか何を言われてもされても、反応が無かった。
それが今じゃ拳・蹴りを使うのも日常茶飯事だ。
姫さんの手前、殺さないように加減してるにしたってなぁ。
俺だからなんとかなってるが普通の竜族だったら死んでるって。

『なんとかしろ』

おい。

『会わずに帰ってくれませんか? 必ず帝都に連れて行きますから。帝都に着くまでには姫さんが旦那の手綱を取れるように……』
『なんとかしろ』

あぁ、ハニー。
俺の死期は近いかも。
 
 
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