四竜帝の大陸【青の大陸編】
「あのね、鳥居は名字で、りこが名前なのよ」
「……しばし待て」

ハクは小さな手を合せ、お祈りでもするかのように眼を伏せた。
私はその動作があんまり可愛くて凝視してしまった。
あれ、指の隙間から淡い光が。
ハクがそっと手を開いた。

「わ~、綺麗! 真珠みたい」

直径は2センチ位かな。
きらきらしてる球体……淡く発光してて、すごっく綺麗。

「なに、それ……うがあっつ!!」

口にハクの手が! 
いきなりグーを突っ込みますか!?
悶絶する私の口の中でハクはゆっくり手を開き、舌の上に何か置いた。
置いた瞬間、砂糖菓子の様にそれは消えた……少し甘かったかも。
ハクが手を私の口からずぼっと取り出し、べろんと舐めた。

「ふむ。……なるほどな」
「!?」

な……なっ、なるほどって何!?
ぎゃー、私の唾液の付いた手を舐めてるよ!
しかも丹念に!
赤い舌が指先まで丁寧に舐めて……私の唾液をまるで蜜のように味わう姿に、顔が熱くなった。
だって、なんかこう、ちょっとだけだけど、淫靡感というかなんと言いますかっ!
爬虫類に淫靡って、私は真性変態!?
ああ、もう大混乱!! 
だいたい何をつっこんだの? 
あ、もしかして……さっきの真珠みたいの?
甘いから、多分お菓子だよね。

「あ……あ、飴をくれるなら普通にちょうだいよ! びっくりしちゃったじゃないっ」
「飴ではない。竜珠だ」

竜珠って……お菓子? 
ふ~ん、こっちの世界のお菓子かぁ。 

「我の名を呼べ、りこよ!」

手を腰にあて、ふんぞり返ったハクが妙に偉そうに言った。

「か、かわっ!?」

可愛い!
ナイスポーズ!! 
なんてかわゆいのよ~。
あぁ、デジカメも携帯も無いのが心底悔やまれるっ。
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