四竜帝の大陸【青の大陸編】
私たちは、離宮の門まで移動することにした。
ハクちゃんは会うことは許してくれたけど、竜帝さんを敷地内にいれるのはどうしても嫌だと言って譲らなかったから。
傍らを歩くダルフェさんが言うには、会うことを許可したことが奇跡に近いらしい。
竜族の雄である彼がそう言うのだからハクちゃんの譲歩は、感謝すべき事なんだろうけれど。
でも。
「私、歩け……」
「駄目だ」
ハクちゃんは私を降ろしてくれなかった。
ずーっとお姫様抱っこだった。
加減をつかんだらしく、腕は震えてないけれど。
こんな状態で竜帝さんに会うなんて、かなり恥ずかしい。
どんだけらぶらぶなのよ、バカップル状態ですか!?
自力で降りようとした私に、ダルフェさんがげっそりした顔で懇願した。
「姫さん、頼む! 俺とハニーと胎の子の未来の為に耐えてくれぇ!」
うう、しかたない。
竜帝さんにあきれられたって、それで皆が助かるなら。
それに。
門が近づくにつれ、ハクちゃんが変というか。
体格差のせいで、顔がよく見えない。
ハクちゃんが意識して私に目線を合わせてくれないと……。
「ハクちゃん? どうしたの?」
ぴりぴりしてるっていうか。
警戒?
不安?
私が呼んでもこっちを見てくれない。
いつもは私が呼べば必ず返事をしてくれるのに、視線は一点を見たまま。
何を見ているんだろう?
広間を抜けると、ダルフェさんが扉を開けてくれた。
この扉の向こうには、見事な庭園が門まで続いている。
多種の花は白で統一されていて、幻想的な雰囲気。
あ、カイユさん発見!
彼女は門の内側に立ち、私たちに向かって一礼してからとんでもなく重そうな鋼鉄の門を軽々と押し開いた。
「あ」
完全に開けられた門から見えた小さな青。
それはふわふわと漂う小さな……。
煌めく青。
「竜。青い……」
小さな青い竜……やった!
鱗だ、う・ろ・こ~!
「うっわー! 可愛い、かわゆ~い! 触りたぁい! 抱っこしたっ!?」
私は口をつぐんだ。
ハクちゃんの視線が、頭頂部に突き刺さるのを感じたから。
さっきは無視したくせに……と言いたかったけど無理だった。
凍りついた空気にさすがの私も黙った。
チリッ。
ピカッ。
視界の隅に何か光ったような?
「だ、旦那! ハニー、退け!」
ダルフェさんが叫んだ。
それは一瞬だった。
真っ白な光が青い竜に向かって伸び、意思を持つかのような動きで避けようとした小さな身体を締め上げた。
「……だ」
ハちゃんが呟く。
え?
なに?
「りこの‘かわゆい’も‘抱っこ’も我だけだ!」
ちょっ!
「‘かわゆい’のは世界に我だけでよい! お前は消えろ<青>!!」
この人、なに言ってるのぉおおお!?
ハクちゃんは会うことは許してくれたけど、竜帝さんを敷地内にいれるのはどうしても嫌だと言って譲らなかったから。
傍らを歩くダルフェさんが言うには、会うことを許可したことが奇跡に近いらしい。
竜族の雄である彼がそう言うのだからハクちゃんの譲歩は、感謝すべき事なんだろうけれど。
でも。
「私、歩け……」
「駄目だ」
ハクちゃんは私を降ろしてくれなかった。
ずーっとお姫様抱っこだった。
加減をつかんだらしく、腕は震えてないけれど。
こんな状態で竜帝さんに会うなんて、かなり恥ずかしい。
どんだけらぶらぶなのよ、バカップル状態ですか!?
自力で降りようとした私に、ダルフェさんがげっそりした顔で懇願した。
「姫さん、頼む! 俺とハニーと胎の子の未来の為に耐えてくれぇ!」
うう、しかたない。
竜帝さんにあきれられたって、それで皆が助かるなら。
それに。
門が近づくにつれ、ハクちゃんが変というか。
体格差のせいで、顔がよく見えない。
ハクちゃんが意識して私に目線を合わせてくれないと……。
「ハクちゃん? どうしたの?」
ぴりぴりしてるっていうか。
警戒?
不安?
私が呼んでもこっちを見てくれない。
いつもは私が呼べば必ず返事をしてくれるのに、視線は一点を見たまま。
何を見ているんだろう?
広間を抜けると、ダルフェさんが扉を開けてくれた。
この扉の向こうには、見事な庭園が門まで続いている。
多種の花は白で統一されていて、幻想的な雰囲気。
あ、カイユさん発見!
彼女は門の内側に立ち、私たちに向かって一礼してからとんでもなく重そうな鋼鉄の門を軽々と押し開いた。
「あ」
完全に開けられた門から見えた小さな青。
それはふわふわと漂う小さな……。
煌めく青。
「竜。青い……」
小さな青い竜……やった!
鱗だ、う・ろ・こ~!
「うっわー! 可愛い、かわゆ~い! 触りたぁい! 抱っこしたっ!?」
私は口をつぐんだ。
ハクちゃんの視線が、頭頂部に突き刺さるのを感じたから。
さっきは無視したくせに……と言いたかったけど無理だった。
凍りついた空気にさすがの私も黙った。
チリッ。
ピカッ。
視界の隅に何か光ったような?
「だ、旦那! ハニー、退け!」
ダルフェさんが叫んだ。
それは一瞬だった。
真っ白な光が青い竜に向かって伸び、意思を持つかのような動きで避けようとした小さな身体を締め上げた。
「……だ」
ハちゃんが呟く。
え?
なに?
「りこの‘かわゆい’も‘抱っこ’も我だけだ!」
ちょっ!
「‘かわゆい’のは世界に我だけでよい! お前は消えろ<青>!!」
この人、なに言ってるのぉおおお!?