最後の恋、最高の恋。
それからカシャカシャと遠慮なく写真を何枚も撮られた。
奇しくもそのうちの一枚が、脱衣所の鏡の前で一人でやっていた、フードを被って耳を両手で持つポーズのスマイルつきだった。
……ひとりだからこそできたポーズだったのに、まさか実の姉の前でやることになるとは……。
理由も分からない撮影会を終えた後、お姉ちゃんお手製の冷やし中華を食べてソファに寝ころびながらテレビを見ていると、テーブルの上に置いた携帯が震えた。
バイブが長いから着信だ。
休みの日に電話してくる人なんて家族以外にいない私は、お父さんかお母さんかと思って相手を確認せずに通話ボタンを押す。
『もしもし美月ちゃん?』
だから、お父さんでもお母さんでもなかったその声が聞こえた瞬間に、電源ボタンを押してしまったのは仕方ないと思う。
不可抗力だ、むしろ電話をしてくる坂口さんが悪い。
なんて理不尽なことを考えながらも、坂口さんが電話してきた理由が私には予想できている。