最後の恋、最高の恋。



あれから坂口さんとの関係は、あいまいなままだった。


1日1回はメールなり電話なりする。

でも、頻繁にやり取りするわけでもなくて、毎週会うわけでもない。



それでもたまに会うと、“好き”とか“可愛い”とか恥ずかしげもなく伝えてきてくれて、その言葉に幸せを感じる。



歩くときは必ず手を繋ぐけれど、抱きしめられたことはない。

もちろんキスだってしたことはないし、その先だってない。


それでも出かけるたびに、知らなかった一面をどんどん知ることが出来て嬉しいし、知れば知るほど好きになっていく自分に気付く。



手を繋ぐだけじゃ物足りないと、何回言いそうになっただろう。




そして、坂口さんは、どこまでも大人で、どこまでも子供だ。




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