最後の恋、最高の恋。


「……坂口さん帰っていいですよ? 私とこれ以上いたらお姉ちゃん、もっと突っ走って私と坂口さんくっつけようとしますから」


それは坂口さんにとっても不本意でしょう? と淡々と口にすれば、まるで私の言葉を聞いていないかのようににっこり笑ってピンクのマグカップを奪い取り、私を追い越して足早に会計へと行ってしまう。


その素早さにしばらく唖然として、立ち止まりながらその背を目で追ってしまって、坂口さんが財布を出すのを視界に捉えた私は、慌てて坂口さんのもとへと駆け寄った。


「ちょ、それ私が買うんですっ!」

「うん、俺が買ってあげる」

「いいです! そんなことしてもらう義理がありません! 買ってもらったからってお姉ちゃんとのことに協力することもできませんよ私!」


そこまではっきり言ったのに、「うん、そんなことしてもらうつもりもないし、春陽にそんな感情も持ってないしね」と逆にきっぱり言われてしまって、私は二の句が継げなくなってしまった。


それに会計前でこんなやり取りしてるのって、とっても恥ずかしいし。

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