最後の恋、最高の恋。
「どうしようかな……」
膝に顔をうずめたまま考える。
このまま帰っても、きっと家にはお姉ちゃんがいるだろう。
お姉ちゃんには会いたくないし、付き合うことになったという報告なんて今日聞きたくない。
もしかしたらお姉ちゃんからじゃなくて、坂口さんと二人で私を待っているかもしれないんだ。
二人に報告をされるかもしれない、と思うだけで身体が震えてくる。
寒さだけじゃない、これはまぎれもない恐怖だ。
もう終わったも同然だけど、本当に真正面切って終わりを告げられるのが怖くて仕方ない。
本当、どこまで行っても私は臆病だ。
とりあえず鞄は持っているし、鞄の中には財布にキャッシュカードもある。
実家暮らしで貯金も結構たまっているからこれを期に一人暮らしをするのもありかもしれない。
そうしたら贅沢は言えないから安いアパートで、必要最低限のものをリサイクルショップで買って揃えたり。
頭の中ではありえない未来をどんどん想像していくけど、現実問題そんな簡単にはいかない。