最後の恋、最高の恋。
「……それって、」
「うん、そういうこと」
私の言葉の先を読んだのか、坂口さんは笑って肯定してくれる。
そういうこと、ってことは。
私がお姉ちゃんにコンプレックスを持っていることも知っていて。
それに縛られて、恋愛がうまくいっていないってことも知っていて。
だからこそ、私と同じ年代じゃなくてお姉ちゃんのように少しだけ大人で、人生経験を積んでいて、でもそこまで離れていない、坂口さんのような人を紹介してくれた、ということだ。
「……でも、それって、坂口さんにはすっごく酷な提案でしたね」
お姉ちゃんの想いの深さに感服しつつも、なんだか切なくなってしまう。
好きな人に、女の子……しかも好きな人の妹を紹介されるなんて、すっごく切ない。
「うーん、だからさっきも言ったけど、俺春陽には全くそういう感情ないんだよね。 あそこまで完璧だと逆にそういう目で見れないだろ?」
聞かれても、困る。
その言葉が、真実を隠すための嘘なのか、それともコンプレックスを持っている私に対する慰めなのか、分からないけど。
嘘じゃないのかもしれないけど。
それは私には関係ないことで、どっちにしても坂口さんの問題だ。