最後の恋、最高の恋。


きっと坂口さんが最初からお姉ちゃんを好きだからだと思う。

坂口さんも、今日初めて会った奴に突然そんなことを言われても困ると思うけど、今まで誰にも言えなかったことを、吐き出したかった。



「かっこよくなくたっていいんです。 ずっと私を好きでいてくれる人を見つけたい」



そこまで言って、なんだか自分自身へ決意表明みたいなものができた気がして、スッキリした。

そんな自己満足な言葉たちを聞かされた坂口さんには、とっても悪い気がしたけどそれでも今より前に進める気がして、すごく晴れやかな気分。

梅雨前の、少し湿った空気さえ清々しく思えるくらい。




「やっぱり、いいな」


ぽつりとつぶやかれた言葉が、何を指しての“いいな”なのか分からない私は、ただ黙って公園で見える限りの一番大きな木を眺めていた。

ああやって大きくなるのにも、幾年もの年月を経てきたんだと思うと、私の悩んできた約20年はちっぽけなものだもん。


そうだよ。
もう、簡単に誰かと付き合うのはやめよう。

好きで仕方なくなった人と、この人ならずっと私を好きでいてくれると思えた人と、付き合うんだ。



次の恋が最後の恋になるように……。



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