最後の恋、最高の恋。
「私は、本当に、坂口さんが好きでした。 坂口さんへの恋心をたいせつにたいせつにしてきて、もう自分ではどうしようもないくらい坂口さんのことが好きになったから、私はあの日、あなたにそれを伝えようとしてました」
「……っ、」
「でも、……ああいう場面を見せられて、その恋心はあの日にずたずたにされたんです。 たとえあれが山口さんとお姉ちゃんをどうにかするための仕方のないことだったとしても、あのことで私は本当に、苦しかったんです」
淡々と言葉を連ねる私の言葉を、坂口さんは唇をかみしめてただそれを聞いていた。
「もう、苦しいのは、嫌です。 これ以上お姉ちゃんを疎ましくなんて思いたくないんです。 大好きなお姉ちゃんを、そんな風に少しでも思っちゃう自分が嫌なんです」
「……みつき、ちゃん」
今日で何回彼に名前を呼ばれたんだろう。
私は彼に名前を呼ばれるのが好きだった。
彼は私を見てくれるから、春陽の妹としてじゃなくて私を見てくれていると思っていたから、彼に名前を呼ばれると、幸せを感じられていた。
でも、これからはそれだけじゃなくなってしまう。