最後の恋、最高の恋。
「それでも美月ちゃん、俺は君が好きで堪らない」
頭上から落ちる言葉は、聞いてるこっちまで苦しくなるくらい切ない声で。
胸が苦しくなる。
抱きしめてあげたい衝動に駆られるけど、拳を握ってそれに耐えた。
彼の手を取れない臆病な私に、それをする権利はない。
「君を傷つけたことは、もう取り返しがつかないけれど、それでも俺は君を諦めきれない」
それ以上、しゃべらないで。
私は、その気持ちをもう、受け取る勇気がない。
私は、コンプレックスの塊だから。
あれが嘘だったとしても、振り絞った勇気をあそこでもう失ってしまった私には、もう一度手を伸ばす勇気を持つことが出来ない。
私は、臆病で、情けなくて、どうしようもない人間だから。
坂口さんのお姉さんに言われても、自分を変えることすらできなかった人間だから。