最後の恋、最高の恋。
An eternal promise
坂口さんの胸に両手をついて、それを力の限りに押そうとした瞬間、後ろのドアが壊れるんじゃないかってくらいの勢いで開け放たれた。
すぐに後ろを振り返りたかったのに、顔を押し付けられているせいでそれもできなくて、私は坂口さんの腕の中でもぞもぞとするしかできなかった。
「こんのっ、ヘタレどもがぁあっ!!」
この状況とは不釣り合いの怒声とともに頭に鈍い痛みが走る。
久しぶりの痛み。
子供のころ悪いことするとお母さんにこうやって拳骨を落とされていたことを思いだす。
耳のすぐそばで坂口さんの小さなうめき声も聞こえたから、きっと同じ痛みが坂口さんにも振り落されたんだと思うけど、この声って……。
「アンタらの問題だからアンタたちで解決できると思ってドアの向こうで聞き耳立ててたら、あの話からどうしてこういう流れになるんだ!?」
「……姉さんは、黙ってるって約束だったろうが」
息巻くお姉さんに、坂口さんが溜息まじりに指摘するけど「黙れヘタレ」と一蹴されて終わる。