最後の恋、最高の恋。
「うちに遊びに来てた時に学が急に血相変えて出ていくから心配で送り届けたら、こんな状況だし。 二人ともいい大人だから話し合いでなんとかうまくまとまると思ったのに、本当どうしてこうなるのかさっぱりわからないあまりについ出てきちゃったじゃないのよ!」
もはや何について怒っているのかもわからないお姉さんの言葉が、右から左へ流れていく。
お姉さんの言葉が耳に入らないくらい、私はお姉ちゃんの視線をじっと受け止めていた。
その少し困ったような瞳が、いったい何を言いたいのか全然分からない。
すでにお姉さんの怒りの矛先は坂口さんに向いていて、でも坂口さんはそれを聞き流して私たちの動向を気にかけているのが気配で分かるけど、正直そっちを気にしている余裕がなかった。
「美月、ごめんね」
やっぱりお姉ちゃんの言葉は、同じ言葉で始まった。
でも今度は“もういいよ”とは言わずに、ただ黙って続きを待つ。
もう、お姉ちゃんの本音を知りたかった。
坂口さんのいる前で、ちゃんとお姉ちゃんの本音を聞いて、全部綺麗さっぱり終わりにしたかったから。