最後の恋、最高の恋。
そうやって分からないふりをするお姉ちゃんに苦笑いしか返せない。
どこまでお姉ちゃんは優しいんだろう。
私に気兼ねすることなんてないのに。
素直に、好きだと言っていいよって暗に言っているのに。
「私、美月に隠していることなんてないわ」
微かに首を振りながら、怪訝そうな顔をした。
だから私はじっとお姉ちゃんの瞳を見つめて無言で続きを促していたのに、お姉ちゃんもただ黙って私を見つめ続けるだけで何も言おうとしないし、坂口姉弟も気配を消して沈黙を守っていた。
再び部屋にエアコンの音だけが響き渡る。
「お、お姉ちゃん?」
その沈黙に一番に耐え切れなくなったのは、私だった。
おずおずと呼びかける声に、「なに?」と小首を傾げるお姉ちゃん。
それにつられて揺られる綺麗な黒髪に少し視線を奪われながらも、恐々ともう一度訪ねてみる。
「素直になって、いいんだよ?」