最後の恋、最高の恋。
……え、待って。
なに、なんで!?
「なんで坂口さんのこと好きじゃないの!?」
抱きついていたお姉ちゃんの肩をガクガク揺らして聞いても、「なんでってタイプじゃないし、学みたいなガキっぽいの趣味じゃないのよ」とあっけらかんと口にする。
「違うよ! 坂口さんは子供っぽいけど大人っぽくもあるんだよ! そのギャップがいいんだよ!」
「でも、私は誠人君のあの見た目で可愛いもの好きなギャップの方がいいのよ」
「宮田さんクマさんじゃん!」
「学はヘタレでガキだわ」
なんだか坂口さんを否定された気がしてクマさんと言ったのに、お姉ちゃんもその言葉にムッと来たのか言い返してきた。
……初めてお姉ちゃんが喧嘩に乗ってきた。
いつもならふんわり笑って、しょうがないなってお姉ちゃんの方が引いてくれるのに。
そんなお姉ちゃんは初めてで、宮田さんへの気持ちが嘘じゃないんだとその態度が教えてくれている。
「宮田さんが、好きなの?」
「誠人君が美月とレースづくり仲間だってことに嫉妬するくらいに」
あっさりと認めるお姉ちゃん。