最後の恋、最高の恋。
「さ、坂口さんのこと、す、きに、ならない?」
そんなお姉ちゃんに言えた言葉は、情けない質問だった。
でもそれは、私にとって崖から飛び降りることより、怖い質問だった。
それでも聞いてしまったのは、やっぱり彼のことが好きだから。
最後の恋は壊れた、とか。
もう恋をするつもりはない、とか言ってたくせに。
彼を好きだという気持ちは、確かにまだ心にあったから。
その気持ちでいっぱいで、仕方なかったから。
怖くて、怖くて。
でも、お姉ちゃんにきっぱり否定してほしくて。
自然と溢れ出た涙をふくこともしないで、お姉ちゃんの返事を待つ。
でもお姉ちゃんは答えてくれなくて、ただ優しく微笑むだけだ。
「み、みんな、お姉ちゃんのこと、好きになって、私から、は、離れてく、のっ」
「うん、」
「きっと、この人ならって、思うのに、っ、みんな、いなくなって」
「うん、」
「そんな私の、お、お姉ちゃんに対する、引け目とか、コンプレックスとか、何もかも受け止めて、くれたのが、坂口さんでっ」
「うん、」
「恋に臆病になってた私を、包み込んでもう一度恋することを、教えてくれてっ、」
「うん、」