最後の恋、最高の恋。
一人考え込んでいるうちに、隣町の駅近くにたどり着く。
大きな高層マンションの前にお姉さんの運転する車が静かに止まった。
「じゃあ、しっかりやるのよ」
「言われなくても」
「って言ってもアンタヘタレだからな、後日また結果聞かせてもらうわ」
お姉さんと話しながら坂口さんは私の手を握って引き寄せると、刺すように冷たい外へと今度は抱きかかえて私を連れ出した。
「え、坂口さん!?」
「うん、とりあえず姉さんはここで帰るからじっくり二人で話そう」
お姉さんにお礼言ってない、とお姉さんの乗る車を振り返るけど、運転席でひらひらと手を振ったお姉さんはそのまま夜の街へと消えて行った。
降りようにも裸足だしどうしたらいいのかわからないまま、首を伸ばしてそのテールランプを見送っていると、いつの間にか車から見えた高層マンションの中に入っていて、中のエントランスは暖房が入っているのか温かい空気に包まれる。