最後の恋、最高の恋。
私は心臓がパンクするんじゃないかってくらいドキドキしていた。
それは彼の部屋に初めて入るっていうのもあるけれど、この後待ち受けているであろう“腹を割った話し合い”に対しての緊張が大半の理由だ。
もう、家での言い合いというか、私の一方的な話で私の気持ちは伝えてしまっていたし、彼にもそういう言葉を貰っていたけれど、結局は私が彼の気持ちを受け取らないと断固拒否したところでお姉さんが入ってきて。
そのあとのお姉ちゃんとのやり取りで、更に私の本心はさらけ出されてしまったわけだけれど、それはお姉ちゃんに言ったんであって彼には言ってない。
彼の部屋で、改めて膝を突き合わせて気持ちの告白をするのだろうか。
ぐるぐる考えるだけで全く答えの出ない考えは、彼の部屋にたどり着くまで私の頭の中で延々と続けられたけど、坂口さんがエントランスで使ったカードキーを一番角の部屋のドア横に付いてる機械に通してピピッと軽快な音が鳴った瞬間に霧散した。
オートでドアの鍵が開く音がして私を片手で軽く抱きなおした坂口さんは、空いた片手でドアを開けて、てっきり玄関で降ろしてもらえると思っていた私の予想を裏切って、自分の靴を脱いでそのまま奥へと足を進めた。