最後の恋、最高の恋。

ソファの前のガラステーブルに置かれている、シンプルな黒の置時計は驚いたことに短針が2と3の間を指していた。


え、こんなに夜中だったんだ、と今の時間が分かっただけで急に眠いような気がしてくるから大概私の身体も単純にできている。



「……も、もう明日も仕事ですし、寝ましょう?」

「うん、明日は辛いだろうけど、俺ははっきりさせたいから寝させないよ」


そろそろ“腹を割った話し合い”が始まりそうな雰囲気を前に、臆病風に吹かれた私がダメもとで提案してみても、バッサリと一刀両断されてしまったせいで私は視線を再び紅茶へと戻して息を吹きかける。


今座っている黒のソファは私の家のリビングのソファなんかよりふかふかしていて気持ちいい。

今ここに横になって寝ろって言われたら、5分も経たないで寝れるだろう。

でも、私の座るソファの右斜めにある一人掛けのソファに座る坂口さんがそれを許してはくれないだろうけど。

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