最後の恋、最高の恋。
「さっきも言った通り、俺美月ちゃんが好きだ」
その言葉をかみしめるように、ゆっくりと深く深呼吸してから、私も持っていたマグを置いて身体を坂口さんのほうへと向き直り、まっすぐに彼の目を見つめながら「……はい」としっかり返事をした。
「私も、好き、……です」
弱弱しくなってしまったけれど、まっすぐ目を見て伝えることができた。
膝の上で握りしめている手に、じっとりと汗がにじむ。
緊張で、うるさいくらいに心臓が鳴っている。
さっきみたいに恐怖からじゃなくて、緊張と好きだという気持ちが高まって、微かに自分の身体が震えているのが分かる。
でもその緊張も震えも、すべてが心地のいいもので。
さっきまで坂口さんと向き合うのに尻込みしていた自分が嘘のように、坂口さんから一瞬たりとも目を逸らすことが出来ない。
瞬きをすることすら惜しいと感じるなんて、どこまで私は彼が好きなんだろう。