最後の恋、最高の恋。
「信じることは、とても怖いです。 人の心は変わらないとは言えないですし」
「……でも、」
なにかを言おうとした言葉を最後まで聞かずに、同じ言葉で遮った。
「でも、私、自分のこんなに膨らんだ好きって言う気持ちを、愛しいっていう気持ちを、信じてみようと思います」
「……美月ちゃん」
今日は坂口さんになんども名前を呼ばれている。
それが嬉しくて仕方ない、なんてそんな些細なことでさえ幸せに思えるこの恋を、信じたいと思う。
「だから坂口さん」
ソファーから立ち上がって、坂口さんの目の前に膝立ちをしながら彼の両手をまだ震える手でぎゅっと包み込む。
触れた瞬間に坂口さんの手がピクリと動いたけれど、そのまま動かずに私のしたいようにさせてくれた。
私が坂口さんから目を離せないように、彼も私から目を逸らさないで続きを無言で促してくれる。