最後の恋、最高の恋。



「俺をこれだけ夢中にさせたんだから、責任とって俺に最後の恋をささげてね?」

「……坂口さんも、私に最後の恋を、くださいね?」



坂口さんのその言葉には頷かないで、彼を見上げて逆に問いかける。


私はもう、この恋を最後にするって決めてるんだから、あなたもそう誓ってください。



まるでそう言いたいのを分かっているかのように、彼は大きくうなずいて笑ってくれた。



「もちろん。 美月ちゃんを永遠に愛することを誓います」


言葉のあと、コツン、と私の部屋でしたみたいにおでこ同士を合わせたけれど、あの時と違ってそれには続きがあって。



ちゅ、という音もなく静かにそれは触れた。


確かに坂口さんの唇が触れて、すぐに離れていく。


驚いて言葉も出ない私とは違って、余裕げな彼は「誓いのキス」と赤面モノのセリフを堂々とくれる。
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