最後の恋、最高の恋。
「い、いい今っ、き、ききき、」
「初ちゅうだね」
動揺のあまりまともに言葉を発せない私の先を読んで、答えをくれる坂口さん。
こんなときばかり、ちゃんと私の心を読む坂口さん。
「な、なななんでっ、いまっ」
「なに? もう一回?」
状況を把握しようと必死な私と対照的に、早くもこの状況を楽しみだして、私の心をわざと勘違いして顔を寄せてくる彼の表情は、悪戯を思いついた子供のようにいきいきしている。
抱きしめられているというよりは、お互いにホールド状態だから、彼の近づいてくる唇を避けることもできずに甘んじて受け入れる。
むしろ、避けることは頭になかった。
軽く触れただけだったのに、もう一度触れたい、だなんて思っていたくらいだった。
だから、坂口さんはやっぱり私の心を読む天才なんだと思う。