最後の恋、最高の恋。
だんだんと深くなる口づけに翻弄されながら私がまともに考えられたことは、それが最後だった。
後はもう大人な坂口さんのテクニックに溺れに溺れて、キスが終わったころにはフルマラソンを完走した後のように酸欠になっていた。
肩で息をする私を、やっぱり余裕な微笑みで見下ろして、
「今4時少し過ぎたけど、もう寝る? それとも……」
そこで急に妖艶な笑みに切り替わって、彼の手が首筋を伝って鎖骨をなぞり、そのまま胸の中心を滑り降りてお臍へと向かう。
ぞくりとした感覚が身体を突き抜けて、羞恥に顔が染まるのが自分でも分かった。
でも、坂口さんから目を逸らすことが出来ない。
「俺と時間の許す限り愛し合う?」
他の人が言ったら似合わないようなセリフでさえ、彼が言うと様になるんだからどうしようもない。
だから、私がそれに頷いてしまったのだって、仕方ないんだと、解っていただけたら嬉しい。