最後の恋、最高の恋。
……初めてだった。
一目見ただけで、心の奥そこに石を入れられたように、ズンと胸に響く衝撃を受けたのは。
直接会ったわけでもない。
画面に映る、名も知らない、声も知らない、女の子。
それでも俺は、確かにこのとき一瞬で、この子に恋をした。
当然、俺は誠人と話をしている春陽の肩を掴んでこっちを向かせ、女の子の映る携帯をその顔の真ん前に突き出す。
「これっ、誰っ!!」
「ちょ、何勝手に人の携帯見て……」
「いいから誰!!」
不満を隠そうともしないで綺麗な顔をしかめる春陽の声を遮ってもう一度訪ねる。
その勢いに押されたかのように、「私と、妹、だけど……」とおずおずと教えてくれた春陽に、携帯を更に近づけて、むしろ携帯は春陽の鼻にくっついていたけどそんなのも構わずに「名前は!? 歳は!?」と詰め寄ると、さっきまで俺の勢いに押されていた春陽は、気を取り直したのかいつも通りになっていて、平常心というよりはむしろ冷徹というか、そう、冷ややかな視線を俺に向けていた。