最後の恋、最高の恋。
観念して、“そうだよ”と肯定しようとした俺に、春陽は俺の芽生え始めた恋の芽を一刀両断する一言を放った。
「美月、彼氏いるわよ」
ついさっき心臓に受けたのと同じくらいの衝撃が俺を襲う。
俺の持論を覆す恋をした相手が、彼氏持ちの子。
その事実ににショックは隠しきれなかったけれど、それよりも名前が“みつき”だと知れたということの嬉しさが上回っているのはなんでなんだろう。
そんな自分の不思議な、初めての感覚に戸惑う。
いつもなら、彼氏持ちだって聞いた時点で次に行くのに、その考えが全く出てこないのはなんでだ?
「みつきちゃんって、何歳?」
彼氏がいるから諦める、という言葉ではなく、もっと彼女のことが知りたいという質問が口からついて出たのも、今までの自分からは想像ができない。