最後の恋、最高の恋。
Fall in love
家まで結構な距離があったけど、それすら感じさせないくらい私の頭は混乱状態で、今さっき自分の身に起きたことが信じられなかった。
ただひたすらに、走って走って。
家に着いた時にはもう足はガクガクして、息切れもひどかったけど、その疲労感がさっきの出来事が夢じゃないことを教えてくれていて、なんだか切なくなった。
いっそのこと夢だったらいいのに。
だってありえない。
あんな素敵な女なんて選り取り見取りな男の人が、私なんかを好き!?
しかもお姉ちゃんとの2ショットの待ち受け画面を見て私に惚れた!?
実際に見てそれを確信するなんて、もしかしてあの人目が悪いんじゃないの!?
ゼェゼェいいながら家に入ると、パタパタとスリッパの音を鳴らしながらお姉ちゃんが出迎えてくれた。
「お帰り、美月。 デートは楽しかった?」
いつものような優しい笑みを浮かべながらそんなことを言うお姉ちゃん。
坂口さんの話が本当なら、私に会わせろと結構前から言われていて頑として断っていたお姉ちゃん。
なのに、今日坂口さんに私を会わせたお姉ちゃん。