最後の恋、最高の恋。
そして運命の時は突然やってきた。
いつもの様に会社に出社して、いつもの様に食堂でお昼休憩を取っていると、隣の椅子が引かれて誰かが座る。
カレーを口に運びながら横目でその人を確認すると、春陽だった。
その前にはいつもの様に春陽が作った弁当が置かれていたけど、その包みをほどくことなくただじっと睨むように俺を見てくる。
他の男たちなら春陽に見つめられたらドキッとするのだろうが、大学時代から何故か彼女には一度もときめいたことのない俺は、何を言われるのか違う意味でドキドキする。
もしかして美月ちゃんが結婚する、とか言いだすんじゃないだろうな。
背中をへんな汗が伝うのを感じながら、黙って春陽の出方を待つ。
そして、たっぷり間を置いた春陽は、決心したように一つ瞬きをしてから口を開いた。
「学、本当に本気で、美月を幸せにできる?」