最後の恋、最高の恋。
その学に紹介されたのが、宮田誠人。
彼に会ったのは、入学式から一週間を過ぎたころだった。
「コイツ、俺のダチの誠人」
突然の休講になって時間を持て余していた私は、学と構内の図書館で本を読んでたんだけど、いつの間にか学の隣には体格のいいクマみたいな男の人がいて、そう紹介された。
学よりも身長が大きくて、体つきもしっかりしている。
でも決して太っているわけじゃない。
髪は真っ黒で、セットしたらきっとかっこいい部類に入るに違いないのに、ボサボサの髪で顔を隠してしまっている。
服装も、パーカーにくたびれたジーンズに、履き潰したスニーカーというラフすぎる恰好だった。
突然のことで驚きながらも、「三浦春陽です」とあいさつをして右手を差し出したのに、彼は自己紹介をするわけでも、手を握り返すわけでもなく、無表情のままその大きな身体で見下ろして、
「これがウワサの子? ホント欠点なくてつまんなそうだな」
と、正面切って喧嘩を売ってきた。
喧嘩を売ったわけじゃなかったのかもしれないけど威圧的な態度からそう思えて、だからこそ「学、私この人と友達になれそうにないから失礼するわ」と、今までの私からは想像すらできない言葉が出てきた。