最後の恋、最高の恋。
後々聞いてみると、最初のあの発言のあとで私がにっこり微笑んで気にしてないと言ったら友達になるつもりはなかったらしい。
“美人で完璧な高嶺の花”
なんて周りから言われているのは知っていた。
それは美月の理想になりたいと努力していた結果であって、本来の私はそんなに完璧じゃない。
弱音だって吐くし、たまにはだらけたりしたいし。
学や誠人の前だと、私は素の自分でいられた。
飾ることのない素の私を二人は受け入れてくれたし、そしてまた学も誠人も私に自分をさらけ出してくれた。
学は見た目の割に案外ヘタレで、お姉さんには散々こき使われているし、誠人はあの見た目に反して可愛いものが大好きで、レースで小物を作ってしまうくらい手先が器用だった。
誠人のそんな意外な一面を知っても、私は素直にそれに感動したし、そのレースの編み方だって教えてもらったりしていた。
そんな感じで三人で過ごす大学生活もだいぶ慣れてきたある日。
自分でも気づかない微かな私の変化に最初に気付いたのは、何故か学だった。