最後の恋、最高の恋。



「……学?」


一人で過去に浸っていた俺を美月ちゃんが呼んだことで、目の前の美月ちゃんに慌てて視線を戻した。

俺より身長が低い美月ちゃんが俺を見上げるのは当たり前なんだけど、その見上げてくる瞳に不安の色が混じっているのが簡単に見て取れた。



いけない、こんなことで美月ちゃんを不安にしている場合じゃないだろう。

しっかりしろ、俺。


そう言い聞かせて、まだ不安げにしている美月ちゃんの腰に腕を回して、マンションへの家路を急ぐ。



そう、俺は自分のことに必死で、美月ちゃんの不安を本当の意味で理解が出来ていなかった。







「学」


美月ちゃんのリクエストの中華丼を食べてお風呂に入ってからリビングにある初めて自分の気持ちをぶつけあった一人掛けのソファに二人で座っていると、美月ちゃんがポツリと俺の名前を呼んだ。

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