最後の恋、最高の恋。

付き合った最初のころ、俺をよく“エスパーだ”とか“美月マスターの称号を与えてあげます”とか言っていたけれど、付き合っていってどんどん美月ちゃんとの距離が近づくにつれて、俺は美月ちゃんが何を考えているのか分からなくなっていた。

逆に美月ちゃんの方が俺の心を読むのがうまくなったんじゃないかってくらいで。


「学は……」


そういってたっぷり間を空けた後、決心したかのように首だけで振り向いた美月ちゃんは大きな瞳に涙をいっぱいにためながら、


「私のこと、嫌いになったの？」


と、予想だにしていなかったことを口にした。


あまりにも予想外過ぎて、反応すらできずに固まるしかない俺に美月ちゃんはとうとう涙をポロポロこぼしながら更に言葉を連ねていく。


「最近一緒にいても上の空のことが多いし、よく目を逸らすでしょう？」


嫌いになったなら早く言って？　嫌なところ絶対直すから別れるなんて言わないで。


言いながら俺のパジャマ代わりのスウェット地のパーカーの胸元をぎゅっと握りしめて震えている美月ちゃんは可愛い以外の何者でもない。