最後の恋、最高の恋。

急に向きを変えるからソファから後ろ向きに落ちそうになった身体を、回していた腕で抱きとめて、そのまま自分の胸へと閉じ込める。

この温もりが俺のそばから離れることなんて、想像できないししたくない。



「どんどん好きになって、美月ちゃんがいつか俺以外の誰かを好きになるんじゃないかって不安になっていろいろ考えてるから、最近ぼーっとしてるんだ」


情けないね、自嘲するように笑えば腕の中の美月ちゃんが俺の背中に両手を回して、勢いよく抱きついてきた。

少し苦しいくらいの締め付けに、なんだかわからない心地良さを感じる。


美月ちゃんの考えてることが、分かる。

こうやって思ってることを正直に言った途端に、不安のもやが晴れて付き合う前のように手に取るように美月ちゃんの気持ちが分かるなんて。


「そんな変な不安、いらないですっ!」



ほら、怒ってる。


どうしようもないことで不安になってる俺に、
美月ちゃんの気持ちを疑うような真似をした俺に、

無くなったはずの敬語をつかう位テンパって怒ってる。


そんな怒ってる美月ちゃんですら愛しい、なんて。

ホント俺はどうしようもないくらい美月ちゃんに溺れてる。

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