最後の恋、最高の恋。
「うん、そうだね」
「そうだねって、……本当に分かってるんですか?」
俺の胸に顔を埋めたままその顔を見せようとしない美月ちゃんを、負けないくらい抱きしめて俺と同じシャンプーの香りのするまだ濡れた髪に顔を埋める。
濡れた感触も、香りも、腕の中の存在も、俺の身体の内も外も何もかもが美月ちゃんで埋め尽くされて。
それが本当に幸せで。
「うん、俺バカみたいだ」
「ホントですよ、私の最後の恋をなんだと思ってるんですか」
怒ったような声。
でも泣いているせいで震えてる声。
こうやって泣いている彼女ですら、嫌われたと思った俺にそれを直すと言ってまで俺との別れを拒否したんだから。
俺だって、もし美月ちゃんが俺以上に好きな人が出来たとしても、俺をまたそれ以上に好きになってもらうって思えないでどうする。
そこまでヘタレてちゃ男として駄目だろう。
「うん、そんなバカなこと考えるくらい俺は美月ちゃんが好きってことだよ」
「……私だって、不安です」
「そうだよね」