最後の恋、最高の恋。
ほくほくと学の笑顔を見つめながら自分も微笑んでいると、学がぴたりと笑うのを止めて私の顔を大きな手のひらで覆った。
急に目の前の視界を塞がれて驚いている私に、学はさも面白くなさそうな声音でただ一言。
「そんな可愛い顔他の誰かに見せたくない」
と、聞いているこっちが恥ずかしくて死にそうな甘い言葉をくれる。
ヘタレで鈍感な学は、それに加えてどこまでも甘い。
その後学の車へと移動して、途中のカフェでテイクアウトしたホットコーヒーと抹茶ラテを、駐車場の車の中で飲んでいる。
私としてはカフェで飲みながら話してもよかったんだけど、何故か学が車で飲むと言いはった。
季節は冬で、アイドリングしてない車は吐く息が微かに白くて、両手で持ったカップから得る温もりだけが唯一の暖を取る方法だった。
ふぅふぅと息を吹きかけてチビチビと抹茶ラテを飲んでいると、「ごめん」と学が急に謝った。
「勝手な嫉妬で美月に寒い思いさせてるんじゃ、サイテーだ俺……」
そうやって自己嫌悪に陥っている学は、とても可愛い。