最後の恋、最高の恋。

付き合ってからあんまり大きな喧嘩をしないのは、こうやって怒っていることさえどうでもよくなるくらい好きだからだと思う。

この間の些細なすれ違いも、結局はお互いを好きすぎるがゆえのものだし。



そう思うと、私と学はとても相手を好きになるスタンスが似ているんだと思う。



「学のせいで余計にどうやって宮田さんに会えばいいか分からなくなっちゃったじゃん」


車から降りて、あの時と同じログハウスへと続く道を手を繋いで歩く。

見渡す限り緑だった辺りは、葉が落ち裸の木々が並ぶ少しさみしい景色に変わっている。

吐く息は白いし、歩いている私たちの格好も学さんは黒いジャケットに赤いマフラー、黒のスキニージーンズにブーツという冬仕様だし、私もカーキのコートに赤のマフラー、こげ茶色のスキニージーンズにスニーカーというオシャレよりも歩きやすさと寒さ対策を重視したコーディネートだ。

お互いつけている赤いマフラーは、学のお姉さんからのプレゼントで学のマフラーにはウサギの、私のにはネコの黒の刺しゅうがされている。


私が学に買ってあげたおそろいのキーケースと同じデザインで、お姉さんがわざわざ私たちのために特注で作ってくれたものらしい。

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