最後の恋、最高の恋。


レース編みも最初の頃よりは上手になったし、あの時途中で編むのをやめてしまったレースのストラップは、今はちゃんと学の携帯にぶら下がっている。

それに料理も最初に比べればなんとか口にできる程度にはなってきたし手際もよくなってきたと自分では思うけれど、髪は中学の時と比べてもあんまり上達しない。

むしろ中学時代のレベルからずっと平行線だ。
鏡越しに見ているとどっちがどっちだかわからなくなってしまうのが一番の原因だと思う。


そう考えているうちに、学は器用にいくつもの編みこみを作り、それを綺麗にまとめてなんとも可愛い髪型に仕上げてくれていた。


「はい、完成」


私の頭を軽くポンとたたいて、にっこり笑った学は「じゃあ行こうか」と玄関の方へと足を向ける。


「え!? 出かけるの? どこに行くの?」


慌てて背中を追いながら問いかけてみるけれど、振り向いた学は更に笑みを深くしただけで何も答えてくれない。


なにか悪戯を思いついた時の笑顔に似ている。

……悪戯とはいかないまでも、それに近いことを考えているに違いない。


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