最後の恋、最高の恋。
お姉ちゃんによくよく会社の仕事内容を聞いてみたけれど、一般の中小企業の受付の私にはとても理解できるようなものじゃなくて、要はいっぱい外国語がしゃべれて仕事が出来て要領がよくてコミュニケーション能力がない人じゃないと無理な仕事だということも分かった。
とにかく仕事がハードでタイトだから、学がこんなにも私に会う時間を使ってくれていることが嬉しくて仕方ない私は、こうやって行き先を教えてくれなくても学と一緒にいられるだけでこの上ない幸せの絶頂に身を置ける。
結局学と一緒にいられることが嬉しいという結論に至った私は、行き先も目的も知らないまま楽しみにしておこう、と考え直して目的地までのドライブを楽しむことにした。
そう考えだしたら黙ったままでいることがもったいなくて、今週の出来事を突然話し出した私に最初は怪訝そうにしていた学も、同じように今週の出来事を教えてくれてさっきまで静かだった車内は音楽なんていらないほど尽きることない話であふれた。
最初の無言の空間が嘘みたいに途切れることのない話をしていた途中で、車が静かに止まって学がエンジンを切った。
「着いたよ」
にこやかにそう言われても、ついた場所は何の変哲もない一軒家。
……といったら殴られるんじゃないかってくらい、豪華なお屋敷だった。