最後の恋、最高の恋。
そんなアッサリと未来を約束するような言葉を吐く学に、ドキドキするやら呆れるやら複雑な感情に苛まれているというのに、私たちの座るソファの向かいに座っているお父さんが声を出して爆笑したことで、学の甘い視線が鋭いものになって、その視線の先がお父さんへと変わった。
「おっまえ、何素で砂糖みたいに甘い台詞言ってんだよ」
ツボに入ったのか、さっきまでの大人の色気はどこに行ったのってくらい子供みたいに爆笑しながらお腹を抱えて笑い始めたお父さんに、
「別にいいだろう? 思ったことを素直に言ったまでだ。 それに俺の最後の女は美月って決めてるから父さんもそのつもりで」
笑うお父さんに冷ややかな視線を向けながらも冷静にそう宣言する学さんに、「リョーカイ」と理解してるんだか定かじゃないお父さんの返事。
そこにちょうどいいタイミングでお母さんが両手でティーカップを4つ乗せたお盆を持って現れて、にこにこしながらそれをそれぞれの前へと置いて行く。
ありがとうございます、と飲み物のお礼を言うと砂糖は好きなだけ使っていいわよ、と角砂糖が入った小瓶を渡されて自分の顔が真っ赤になるのが分かった。