最後の恋、最高の恋。
「おっどろいた、学ってそんな顔できるようになったのねぇ」
「まぁね、美月に出会って“愛しい”って気持ちがどんなものなのか分かったから、だから美月以外はいらないんだ、俺」
感嘆の声をだすお母さんに、照れるでもなくサラッとそんなことを言ってしまえる学は、心臓に毛が生えてるんだと思う。
学の言葉にお父さんは「そりゃ美月ちゃんを大切にしなきゃ罰が当たるな」なんて言って笑っているし。
ホント、この空気ってひたすら私が恥ずかしい。
もう顔上げられないんですけど……。
「美月ちゃん」
やわらかな、でも芯の通った声で名前を呼ばれておずおずと顔を上げると、ソファーとテーブルの間に座って、私をしたから見上げてくるお母さんが目の前にいた。
ふわりと華奢な両手で私の両手を包み込んで、にっこり笑ってから
「学を、お願いしますね」
そう、言われた。