最後の恋、最高の恋。


「おっどろいた、学ってそんな顔できるようになったのねぇ」

「まぁね、美月に出会って“愛しい”って気持ちがどんなものなのか分かったから、だから美月以外はいらないんだ、俺」


感嘆の声をだすお母さんに、照れるでもなくサラッとそんなことを言ってしまえる学は、心臓に毛が生えてるんだと思う。

学の言葉にお父さんは「そりゃ美月ちゃんを大切にしなきゃ罰が当たるな」なんて言って笑っているし。


ホント、この空気ってひたすら私が恥ずかしい。
もう顔上げられないんですけど……。


「美月ちゃん」


やわらかな、でも芯の通った声で名前を呼ばれておずおずと顔を上げると、ソファーとテーブルの間に座って、私をしたから見上げてくるお母さんが目の前にいた。

ふわりと華奢な両手で私の両手を包み込んで、にっこり笑ってから


「学を、お願いしますね」


そう、言われた。

< 278 / 337 >

この作品をシェア

pagetop