最後の恋、最高の恋。


「美月、おはよう」


いつものようににっこり笑顔でキッチンから挨拶をしてくれたお姉ちゃん。

そして、リビングのソファにこちらに背を向けて座る黒髪の男が、お姉ちゃんの声で気づいたかのように私の方を振り向いた。





「美月ちゃん、久しぶり」



……確かに、久しぶりだ。

この間の数時間しか経ってない“久しぶり”より、三か月空いたこの“久しぶり”のほうが、使い方としてはあってるんだと思うけど。


あまりにも不意打ち過ぎて、この状況を受け入れられなかった私は、とりあえず開けたドアをゆっくり閉めた。

今のはきっと私が寝ぼけていただけだ。
そうに違いない。


自分に言い聞かせてからもう一回開けてみるけど、そこには変わらず坂口さんの姿がある。

どうやら彼がいるのは、まぎれもない現実らしい。


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