最後の恋、最高の恋。
『じゃあ今日一緒に行ってお掃除手伝ってくれないかしら』
もちろんその言葉に私は頷いた。
もう慣れた学のマンションの部屋でお母さんと待ち合わせ。
スペアのカードキーはだいぶ前に学に貰って、財布の中にいつも入っている。
お母さんはお掃除と言っていたけれど、正直あんまり汚いところが見当たらない。
学が出張に行って半月だから、とりあえず掃除機をかけとこうかな、とクローゼットの隅から掃除機を取り出してリビングをかけ終わったところでチャイムが鳴った。
きっとお母さんが来たんだと、相手も確認しないでドアを開けたのがいけなかったんだと思う。
開けたそこにいたのは、お母さんじゃなかった。
とっても美人な大人の女の人。
髪は綺麗なブラウンに染められていて、メイクも濃すぎずその女の人を引き立てるメイクで、背も高くて着ている服もシックな色で統一されていて、本当に大人の女の人。
お母さんでも、学のお姉さんでもない。
もう一人学にお姉さんがいたっていうなら話は別だけれど、学にはそんな話は聞いてないし学は二人姉弟だ。