最後の恋、最高の恋。


「どうしたの?」


ふふ、と笑うお姉ちゃんは絶対に確信犯だ。
今日坂口さんが来ることは予定されていたに違いない。
もし急に来たとしたらお姉ちゃんはここまでにっこりしてないはずだもん。


「……今日体調悪いから出かけるのやめる」


少しだけ開けたドアの隙間からそれだけ言って、私は階段を駆け上がった。


そんなまんまとハメられて堪るもんですか!
今日出かけるって約束していた先週から、こうすることを決めてたんだ! 私に内緒で二人で!

それだったら直接私に一緒に出掛けようって言えばいいのに!



自分の部屋に入って鍵をかけて、そこでハタと気づく。


なんだ?

別に私に直接言ってくれなくてもいいんじゃない?
お姉ちゃんに頼って私と会うのを手伝って貰ったって、私には関係ないんだし?


なんで私に内緒で二人で決めていたことに腹を立ててるの?


怒るとこ、違くない?


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