最後の恋、最高の恋。
だから、私なんかよりお姉ちゃんを好きになる歴代の彼氏の気持ちが痛いくらいによくわかるのだ。
「ごめん」
お決まりの言葉を吐かれて、それでも笑顔で「今までありがとう」というのも、もう慣れたもの。
好きな人がどんどん遠ざかっていく。
その背中がどんどん小さくなって、角を曲がって見えなくなっても私はそこから動くことができなかった。
お姉ちゃんを好きになるのはわかる。
私だって大好きだし。
それでも、それでも……。
「ばかやろぉっ……」
私だけをずっと好きでいてほしかったと思うのは、叶わない望みなんだろうか。
目から涙がこぼれる前に、腕でごしごしと乱暴にふき取る。
「仕事に生きてやるッ」
それが、今できる精一杯の負け犬のなんとやらだった。