最後の恋、最高の恋。


自分自身に問いかけてみるけど、もちろん答えてくれる人なんていない。


「やっぱり大人の考えることは、訳わからん」


高校のときは2歳の年の差なんて何とも思わなかったけれど、社会人になると2歳の年の差はデカい。

自分より2年も社会でもまれている人生の先輩の考えを、簡単に理解できるわけなんてないんだけど……。


午後のお買い物もなくなったことだし、もうのんびり二度寝しよう。


とベッドに丸まった瞬間に、カチャリと鍵をかけたはずのドアが開く音がして、勢いよく起き上がると、壁に寄りかかって腕組みをしながらこちらを見て微笑む坂口さんがいた。




え? なに?

どうやって開けたの?


坂口さんと開いたドアを見比べていると、「コレでちょっと」と言いながら坂口さんが掲げて見せたのは、細い針金みたいなもの。

よく見ると、ヘアピンを伸ばしたもののようだった。

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