最後の恋、最高の恋。
黙り込んでしまった私に、美月ちゃん? と電話の向こうから私を呼ぶ宮田さんの声が聞こえる。
私は、小さく息を吸い込んでバッとベッドから飛び起きると、勢いに任せて思わず言ってしまった。
「すいません宮田さん! 私今から学のところに行くんです! ちなみに両親も出かけてて家には誰もいなくなってしまうのでお姉ちゃんを家に送られても困るのです! 宮田さんにはご迷惑をおかけしますがお姉ちゃんを今晩面倒見てください!」
ではおやすみなさい! と一息に言い切って、『え? ちょ、みつ……』そう何か言いかけていた宮田さんの言葉も聞かずに電源ボタンを長押ししてそのまま電源を切る。
よし、これで宮田さんからの折り返しの電話もこないから大丈夫だ。
嘘をついた少しの罪悪感と、このあとどうなるのかというちょっとした好奇心でドキドキしながら小さく息を吐いてから、ハッと気づく。
そういえば、学に連絡をしなきゃいけなかったのに、携帯電源切っちゃ連絡できない……。
しかも前に夜に一人で出かけるなという風に言われてたのだから、今から一人で学のマンションまで行くのもダメだということだろう。
……どうしよう、とまたベッドに突っ伏してぐるぐる悩んでいると、まるでタイミングを見計らったかのようにちょうどよく来客を告げるチャイムが鳴った。
もしかして……! と自分の直感を信じて慌てて階段を駆け降りると、玄関にはお母さんと談笑している学の姿があった。