最後の恋、最高の恋。
っていうか、なんでそんなことができるの。
坂口さんには驚かされてばかりの私は、例にもれずただ口を開けて手元を凝視していた。
「あ、割れてなかったんだね」
その言葉に、「おかげさまで」と視線を外さずに答える。
坂口さんが言ってるのは、机の上にあるマグカップのことだろう。
落とした時に嫌な音を立てたマグカップは、幸運なことにヒビ一つ入っていなくて、そのせいか使うことができないまま、観賞用にテーブルに飾ってある。
きっとそれを坂口さんは見つけたんだろうけど、そんなことどうでもいい。
私が知りたいのはどうやって開けたのか、だ。
もしかして、漫画なんかであるみたいに、ピンで本当に開けちゃったの?
そんなことって実際にできるの?