最後の恋、最高の恋。



っていうか、なんでそんなことができるの。


坂口さんには驚かされてばかりの私は、例にもれずただ口を開けて手元を凝視していた。



「あ、割れてなかったんだね」



その言葉に、「おかげさまで」と視線を外さずに答える。


坂口さんが言ってるのは、机の上にあるマグカップのことだろう。

落とした時に嫌な音を立てたマグカップは、幸運なことにヒビ一つ入っていなくて、そのせいか使うことができないまま、観賞用にテーブルに飾ってある。

きっとそれを坂口さんは見つけたんだろうけど、そんなことどうでもいい。


私が知りたいのはどうやって開けたのか、だ。


もしかして、漫画なんかであるみたいに、ピンで本当に開けちゃったの?


そんなことって実際にできるの?

< 31 / 337 >

この作品をシェア

pagetop